原点は「こころに寄り添うこと」-共感 x 英会話 仲間聡子さん-

沖縄(那覇市)を拠点に英会話スクール主宰として活躍中の「さこさん」こと仲間聡子さん。最近は英会話のクラスにLove Smart Cardsを取り入れているそうです。そこではどんなハートのコミュニケーションが展開されているのでしょうか。
                  (採録:2019.12.21 / 聴き手:Love Smart Cards 今井麻希子)

NVCと出会い、自分のなかの「こども」が喜んだ

- 仲間聡子さん(以下さこさん)はNVC(Nonviolent Communications)の実践者として沖縄で場を開くなどさまざまな活動を展開していますね。そもそもNVCに魅力を感じたきっかけは何だったのですか? 

大学卒業後、沖縄に戻って英会話学校を始めたのですが、やっているうちにいつの間にか難関校受験のための進学塾のような形態になっていったんです。そのうち「受験には英会話は要らないから」と言われ、内面の自発的な想いには関係なく、外部の社会に求められるスキルをつける教育スタイルになっていきました。気がつけば私自身も生徒に対して「こういう人間になりなさい」「これができないとダメ」というエネルギーで接するようになっていったんです。いろいろご評判をいただいたのですが、次第に教えることに苦しさを感じるようになっていました。

 NVCに初めて触れたのは、今から3年半くらい前にちょっとしたワークショップでのことでした。その瞬間、自分のなかのこどもの部分が喜ぶのを感じたんです。「わーっ!この感覚って懐かしい!」って。と同時に「あ、なんだ、これ知っていたことだ」とも思ったんです。というのも、英会話をメインに展開していた時にやっていたことは、相手の話を聴いて、その人の言いたいことにあう表現を探っていくという、その人の内面に寄り添って一緒に旅していくようなところがあったんですね。そこに醍醐味を感じていたからこそ、私は英会話の仕事が好きだったんです。NVCの共感的に聴くという体験を通じて「私が住みたかった世界はここだったんだ!」ということを思い出すことができたんです。

NVCの学びに、英語の力を役立てる

その後「韓国にはNVCで英語を教えている人がいる」という話を聞いて、私もいつかそんな風になりたいと考え、NVCを学ぶためにいろいろなワークショップに通うようになりました。そうこうするうちに、海外のトレーナーの来日ワークショップで、英語の出来ない参加者たちが「自分ももっと英語ができたらよかったのに」と言っているのを耳にして「私に何かできることあるかもしれない」と考えるようになりました。そこで、自分がいいなと思った海外トレーナーの英語動画に日本語字幕をつけることを始めたんです。

 − − − さこさんが字幕をつけたNVCの映像   − − −


Yoram Mosenzon: Chinese Minister Story
(環境NGOに政府との交渉スキルを教える)
https://youtu.be/XEdcuT8hSHc

Nonviolent Communication (NVC): Yoram Mosenzon workshop: ‘Ask for the Moon’
(リクエストには限界がない!)
https://youtu.be/AJ-ctpWQkZA

Short Introduction to Nonviolent Communication (NVC), by Yoram Mosenzon
(NVC紹介動画)
https://youtu.be/7mdxyYyk2JU

Own Your Behaviours, Master Your Communication, Determine Your Success | Louise Evans | TEDxGenova (NVCについてのTEDトーク)
https://youtu.be/4BZuWrdC-9Q
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さこさんが字幕をつけてくれた映像教材はとても豊かで、日本でNVCを学ぶ人たちにとって、とても大きなギフト(贈りもの)になっていますね。

沖縄で育まれているNVCコミュニティ

-今では、沖縄で定期的な勉強会も開催されています。

NVCを学ぶ人たちが集う場をつくろうと思ったきっかけの一つが、2018年12月にLove Smart Cardsのワークショップを沖縄で開いたことでした。せっかく集まってくれたみんなが定期的に会えたらというのと、自分一人だと忘れてしまうのでアウトプットできる場があればいいなと思ったんです。沖縄にNVC認定トレーナーの小笠原春野さんが引っ越してきたこともあり、NVCを学ぶ人たちのコミュニティが沖縄に育ってきている感じがあります。


(沖縄でのLove Smart Cardsワークショップ)

英会話とNVCを結んだ先に見えた世界

そんな中、たまたま定例会に参加している一人が、「さこさんのところで英会話を勉強してみたい」って言ってくれたんです。それで「せっかくNVCを学んでいる仲間だし、こう言う感じでやってみない?」って、Love Smart Cardsを使ってみることにしたんですね。

体験レッスンなのでさらっとその方の英語力をチェックするのですが、結構みんな、人生を語り出すんですね。英語ができなかったから果たせなかったことや、英語ができたらこんなことがしたいという夢とか。

もちろんこちらから手助けはするんだけれど、こちらが英語を教えるって感じは全然ないのに、どんどん出てくるんです。普段使っている日本語脳じゃないから出てきやすくなるのかな?その人のなかにずっとあった憧れだとか、夢のようなものの扉がどんどん開いていく感じで。そうしているうちに、その人が感謝しだしたんです。「さこさん、ありがとう。私これやりたい!」みたいに。

それを見て「ああ、私が長い間この職業を続けてきたのは、これがやりたかったからなんだな」って思ったんです。言葉を探すお手伝いをしながら、その人のこころのありかを探すお手伝いをする。人が自分がいいたいことに辿り着いた時にスパークルする(輝く)ものがあって、そのあたたかいものに触れていく感じ。

会話を通じて展開する、いのちのものがたり

-英会話の中で、Love Smart Cardsをどんな風に使っているのですか? –

いろいろな使い方があるけれど、「今日何か話したいことある?」ってところから始めます。そうすると、たとえば、こどもと喧嘩しちゃった話とかを話してくれるんですね。それで「そのことを思った時に、どういう感情があるの?」と尋ねながら、感情のカードを選びながら「怒っている(Angry)」とか、「情けない(Sorry)」とかいう風に、感情を言葉にしていく。英語に置き換える作業が入ることで感情の渦からちょっと離れて、いろんな角度から見えてくる感じがします。

例えば、喧嘩についてfightって言う表現が出てきたら「それもいいけれど口論はquarrelとかargueとかもありますよ」と言いながら文章をつないでいく。最初は日本語で話出す人が多いので通訳をしているような感じなのですが、途中から、気がついたら英語で話し出している。そこから私がカードをめくって「こんな気持ちですか?」とか尋ねたりしながら、簡単な文章をつくってみたりする。すると「あ、そうじゃなくて!」とか「で、その時に!」とか、どんどん英語で喋り出す。回路がつながっていって、昔習ったものが出てきやすくなるんでしょうね。英語で話す抵抗が自然となくなっていく感じなんです。

(英会話のレッスンを通じて、こころの世界が展開)

(会話が進むのは)Love Smart Cardsの威力もあると思います。色もパステルでカラフルで、ハートや可愛いイラストがあったりして、奥行きがある。手に取ったときに、想像が膨らむ余白がある感じ。種類も4つあるから、「今日は感情からやってみる?ニーズから?個性から?」と、いろいろな切り口から始められる。話している方も、自分が選んだカードを、話しながら並び替えたりして、どんどん自分の中で整理がされていくみたいで、その人の何か、いのちのようなものが、目の前に立ち上がっていく感じなんです。

NVCで深める「大人のやり直し英語レッスン」

- 心が動き、言いたくなることが自然に湧いてきて、そこから言葉が紡がれていくのですね。

本当の学びだと思うんですよね、それが。話したいことがあるから話す。自分の伝えたいことをなんて言えばいいんだろう?って感じるところから英語の会話が生まれていく。

英語の初心者で、自分で文章をつくれないという人でも、その人が話した日本語を、私がいくつかフレーズをつくって「どれが一番しっくりきますか?」と尋ねるところからスタートします。カードを選んでもらいながら話が展開していくうちに「英語を話そう」っていうよりも「言いたいことがある」というモードに脳が変わっていく。そうすると「こういうときには、英語でどう言うのかしら?」という風に自然と会話になっていく。

- 沖縄のスクールの他、オンラインでも講座をスタートしたそうですね。

「共感×大人のやり直し英語」というタイトルで始めました。皆さんお忙しい方が多いので、月に何回という感じで、気軽に始めてもらっています。まだまだ始めたばかりでどうなるかわからないけれど、楽しんでいます。

-英会話を学びながら、自分自身のこころとも深くつながっていく。すごくワクワクするなと思いました。沖縄の定例会も是非いつか参加してみたいです!さこさん、どうもありがとうございました。


仲間聡子(さこ)さん
https://www.facebook.com/sako.okinawa/
共感 x 大人のやり直し英語
https://ameblo.jp/sakomarie/entry-12565517372.html

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